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伏見・宇治川 春の訪れを告げる「新生ヨシ焼き」始まる

「第4回ヨシ焼き観察会」の様子

「第4回ヨシ焼き観察会」の様子

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 伏見の宇治川河川敷で2013(平成25)年にスタートした「ヨシ焼き」が今年で10年目を迎え、3月7日、「ヨシ焼き観察会」が行われた。8時に始まった観察会には、山本ひとみ伏見区長、青山聡伏見消防署長、一般社団法人日本茅葺(かやぶ)き文化協会代表理事安藤邦廣さん、地域住民ら30人が参加。

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 伏見のヨシ原は、文化財社寺等のかやぶき屋根の良質な素材供給地であり、地元・三栖の「炬火会の祭」などの伝統行事を支え、西日本有数のツバメのねぐらであるとともに、さまざまな動植物が観察されている。ヨシ原の環境を維持するために、市民活動「伏見のヨシ原、再発見!」プロジェクトとしてヨシ焼きを行っている。

 同日5時30分からヨシを焼いていた山城萱葺の石井規雄さんは「地域の皆さんと共に歩んで10年を迎えることができた。この火を絶やすことなく、風景、自然と文化を未来に受け継いでいきたい」と意気込む。

 2020年12月には、ユネスコ無形文化遺産として「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の登録が決定。その中には「茅採取」が含まれ、宇治川のヨシ刈りもその技術の対象となっている。2021年にはプロジェクト構成団体の伏見楽舎が、京都市の「令和2年度京都景観賞 景観づくり活動部門」を受賞。

 観察会に参加した、「宇治川のヨシを守るネットワーク」としてヨシの魅力を発信している竹中みなさんは「伏見のヨシ原は、毎年夏にたくさんのツバメがねぐら入りをしており、観察に行ったり、初夏にはオオヨシキリという鳥が一斉にヨシ原の中で鳴いており、にぎやかなヨシ原を眺めながら堤防の上を歩いている。ヨシ原は多くの生き物を守る大切な場所。ヨシによる二酸化炭素吸収や、かやぶき屋根の材料になるなど、ヨシ原はたくさんの機能や可能性を持っていて、この伏見のヨシ原を守る営みの一つが毎年春に行われるヨシ焼き。ヨシ焼きによって元気なヨシが育ち、また夏に元気なオオヨシキリの声が聞けること、ツバメの姿が見られることを今から楽しみにしている」と話す。

 ヨシ焼きは今月26日までの間で、風の弱い安全な日に5日間行う。

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