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大正創業のたばこ店を改装した伏見のカフェがオープン1カ月、店主自らいれるコーヒーが人気

104年続いた吉田たばこ店をカフェで事業継承した店主の吉田章男さん(右)

104年続いた吉田たばこ店をカフェで事業継承した店主の吉田章男さん(右)

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 1917(大正6)年に創業した「吉田たばこ店」を改装し、11月24日、「吉田たばこ店+MAMEBACO COFFEE(マメバココーヒー)」(京都市伏見区西大手町)がオープンした。店主の吉田章男さんがいれるコーヒーは元田中のスペシャルティコーヒー焙煎(ばいせん)所・カフェ「タビノネ」店主の北辺佑智さんの協力を得て、伏見と高瀬川をイメージして開発したオリジナルブレンドだという。

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 吉田たばこ店が104年前に創業されて以来、先祖代々家業を継承してきたが、吉田さんの母が他界して休業を余儀なくされていた。その遺言の中に「吉田たばこ店を残してほしい」という要望があったこと、古くからの常連客も含め地域の人が集まる場所をなくしてはならないという考えから、和雑貨を扱う事業会社を退職した吉田さん自身が店を残すことを決めたという。

 そうした中、吉田さんの姪(めい)が「タビノネ」が1坪店舗として展開している「MAMEBACO COFFEE」を紹介、丸田町の店の見学や北辺さんとの相談を開始。クラウドファンディングも行いながら、開店に至ったという。内装は小泉道具店の小泉誠さんが担当し、たばこ店のレトロ感を残しながら、シンプルでモダンな家具を含めて、落ち着いてコーヒーを楽しめる店舗環境を演出した。 

 店で提供するメニューについても「伏見らしさ」を特徴としたメニュー開発を北辺さんと行い、「なめらか酒粕チーズケーキ」「甘酒プリン」「ガトーショコラ」などスペシャルティコーヒーと合わせて楽しめるスイーツをそろえたという。蜂蜜を練り込んだモチモチの「蜂蜜カヌレ」も人気だという。開店して1ヶ月となるが、タビノネのコーヒーファンをはじめ、伏見地域での多様な世代の集客で設定した売上目標も順調に達成しているという。

 吉田さんは「以前のたばこ屋時代から通ってくださる常連さんにはカートン単位でたばこも販売しているが、店内は奥の1カ所を除くと禁煙。たばこ店は地域の人が集まる場として子どものころから見てきた。カフェ店として再生し、残せて良かった」と話す。

 プロジェクトに関わった北辺さんは「カフェは街の情景を創り出す存在。伏見のたばこ屋さんとして街の風景だったこの場所が、新たに人と人とを美味しいコーヒーでつなげる場所になってくれるとうれしい」と話す。

 同店では今後もスペシャルティコーヒーとのマリアージュを意識したスイーツの開発を強化し、伏見の酒粕と地元酒蔵「黄桜」の甘酒をあえたプリンのメニューを予定しているという。

 営業時間は11時~18時。火曜・水曜定休。

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