公益財団法人「京都伝統産業交流センター」(京都市左京区、TEL 075-762-2670)が5月14日、京都の伝統工芸品を扱うネットショップ「京もの専門店・みやび」内に職人応援特設サイト「save our crafts by MIYABI」を開設した。
同サイト発起人の「中村ローソク」(京都市伏見区)社長の田川広一さんによると、京都の伝統工芸品業界はこれまで、春秋シーズンの観光やイベントに向けて数カ月前から商品を作り始め、小売店が商品を販売してきたが、新型コロナウイルスの影響で今年は全く販売ができず、用意した商品が大量に在庫として残ってしまったという。
田川さんは「職人は、今作った商品が販売されなければ次の商品を作成する材料代が捻出できない。このままでは職人が生活できず転職せざるを得ない。職人は一度仕事から離れるとなかなか戻れないので、このままでは伝統産業の後継者が育たず衰退する。それが一番の問題」と話す。
田川さんはゴールデンウィーク直前の4月末、京都の職人や仕事仲間に「職人を救済するプロジェクトの立ち上げ」を呼び掛けたところ、結婚式ムービー演出を行う「京都エタニティ」(京都市中京区)の賛同と京都市の協力を得て、特設応援サイト開設にこぎ着けた。
同サイトに参加する団体・企業、職人は、清水焼の窯元集団「京都日吉製陶共同組合青年会」(京都市東山区)の高島慎一さん、高野洋臣さん、巖田建さん、伊藤竜也さん、加藤邦起さん。寺院、神社、文化財の金箔押加工を手掛ける「京金箔押 常若」(京都市山科区)の藤澤典史さん。京雑貨・小物を製造販売する「夢み屋」(京都市伏見区)の景山有岐子さん、手づくりかるた・花札を製造卸販売する「田村将軍堂」(京都市伏見区)の田邨(たむら)知史さん。同サイトでは現在、新規参加者も募集している。
サイトでは、今年の春の販売を予定していた商品を中心に約70点を販売する。
田川さんは「より多くの方に手にとってほしいとの思いから、通常販売価格の40%OFFで販売する。今回を逃すと二度と手に入らない物が多いので、ぜひ手に取っていただけたら」と呼び掛ける。