伏見区役所で6月8日、国内外の酒類ツーリズムの取り組みを学ぶ講演会、「ワインツーリズム先進地 ボルドーの取り組み」が行われた。講師は酒文化研究所・第一研究室長の山田聡昭さん。主催はジェトロ京都。伏見区役所,伏見酒造組合,伏見観光協会,大手筋商店街が協力している。
ジェトロ京都の地域貢献プロジェクト「伏見SAKEツーリズム研究会」の取り組みの一環として行われた今回の講演会。当日は馬屋原宏伏見区長のほか、「自治体職員」「酒蔵関係者」「商店街」「鉄道会社」「地域住民」など約30人が参加した。
冒頭の挨拶でジェトロ京都・所長の石原賢一さんは「ワインツーリズムの先進地のフランス・ボルドーや国内外の酒類ツーリズムの取り組みについて学ぶことで、酒どころ伏見のあり方や将来について考えるきっかけの場を作りたかった」と講演会の狙いを説明する。
講演会では、まず山田さんが酒類ツーリズムのパターンを「常設施設」「イベント型」「周遊プログ型」と分類。それぞれの特徴を紹介。続いて「ボルドーは半径50キロという広域の範囲での周遊型のワインツーリズム。ボルドー市では、『市内中心部への車の乗り入れ制限』『路面電車の整備』『建物の表面のクリーニング』『歩いて楽しい街の環境整備』『イベント開催』『 TGV(フランス新幹線)の整備』『食メニューの充実』などを掲げ、約30年掛けてワインツーリズムを整備した」とボルドーの取り組みについて解説する。
そのほか、「サントリー山崎蒸留所」「パ酒ポート北海道」「やまなしワインタクシー」「コニャックやシードル産地の取り組み」など国内外の事例を説明。その中で「フランスでは上位のシャトーは、お抱えのシェフが自社のワインに合う料理を提供。ワインの楽しみ方提案をしている。色と酒を一体化した提案は日本でももっと取り入れても良い仕組み」と話す。
最後の質疑応答で出た、伏見を含む日本酒産地の課題にの質問については「海外の人が来て日本酒を気に入っても、国に戻ると手軽に買えないのが現状。海外への情報発信と並行して流通方法も整備していく必要がある」と締めくくった。
参加者の林亜衣子さんは「伏見の地域活性プロジェクトの仲間に誘われて参加した。ボルドーの半径50キロ圏内を伏見に置き換えると、兵庫県、大阪府、奈良県、滋賀県が含まれる。灘や池田、奈良、近江などの日本酒産地、鉄道各社や自治体が連携した近畿広域の酒類ツーリズムが実現すると面白い。実現に向けて動いていきたい」と笑顔で振り返る。