カンボジア日本人会へ寄贈される町内みこしの出発式が8月20日、伏見深草で行われた。主催は「神輿(みこし)会藤」と「深草郷神輿会」。
深草地区のみこしとの関わりは長く、今から約1800年前に神功皇后によって創建された藤森神社の863年に清和天皇の勅(みことのり)を奉じて行った「深草貞観の祭」が起源とされる。
今回、みこしをカンボジアに寄贈する背景について深草郷神輿保存会の井上雅晶さんは「10年前に私が経営する居酒屋の時代屋がカンボジアに出店したことで、カンボジアとの縁ができた。近年、少子化や町内会の解散でみこしの行き先がなくなるケースがあり、町内子どもみこしを引き取ったことをSNSで発信したところ、カンボジア日本人会会長の小市琢磨さんから『そんなみこしがあったら紹介してほしい。カンボジアにいる日本人子女に日本の文化に触れてほしい』と連絡をもらったのがきっかけ」と話す。
「偶然、少子化で世話ができない町内みこしがあると深草郷神輿保存会のメンバーから連絡をもらい、みこしを所有していた『神輿会 藤』に相談したところ快諾いただいた。そこからトントン拍子でカンボジアにみこしを引き取っていただく話が決まった。いろいろな運送会社に連絡したが、サイズや前例がないということで何件も断られたが、京都の『人力引越社』が受けてくれて、今回の出発式にこぎ着けた」と振り返る。
当日は、「神輿会藤」「深草郷神輿会」のメンバーが参加してトラックの荷台に運び込んだ。
井上さんは「みこしは静岡経由でカンボジアに送られる。11月12日の日本とカンボジア国交70周年の盆踊りで初披露される。みこしは1975(昭和50年)、日本が今より元気で子どももたくさんいたころに町内の財力を傾けて造られた。藤森神社の本みこしの5分の3のスケールの立派で大きなもの。今後は日本人会で大切に維持継続していただければ」と期待を寄せる。