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伏見桃山陵の古写真一般公開 新天皇即位で企画、練りようかん関連資料展示も

造営中の伏見桃山陵の古写真

造営中の伏見桃山陵の古写真

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 京都府立京都学・歴彩館(京都市左京区下鴨半木町)で現在、伏見桃山陵の造営当時の写真や伏見発祥として知られる「練りようかん)」の関連資料などの一般公開を行っている。

淀川両岸一覧に描かれいる伏見の様子

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 同館で現在開催中の企画展「双京 京の夢、江戸の夢~館蔵資料に見る、二都の縁(えにし)~」。令和の天皇即位を記念して企画した同展では、「江戸時代に京都を離れて江戸で暮らした武家や商家の人々」「京都と江戸を行き来した人々」「昔の名所図会などを使った二つの都市の対比」「幕末維新の両都市」「近代皇室儀礼」の5テーマで同館収蔵の古文書や写真などを紹介する。京都と東京(江戸)を対比させることで、皇室ゆかりの京都と東京の関係性、明治以降の皇室儀礼を知ってもらおうと企画した。

 同館学芸員の若林正博さんは「伏見関連では、江戸に向かう僧侶たちの一行が記した『大乗院文書』に、時の関白から一行へようかんが届けられたことが書かれている。近年『伏見寒天プロジェクト』の活動により伏見が寒天発祥の地であること、1600年代後半に寒天が発見されたことが広く発信されている。寒天を使ったことにより誕生したのが練りようかん。大乗院文書に出てくるようかんが練りようかんならば、寒天発見の年代特定に大きく寄与することになる」と解説する。

 「残念ながら大乗院文書では練りようかんかどうかは特定できないが、ほかの文書などに当たってようかんの記述を追いかければ、今まで謎となっていた寒天発見の年も分かるかもしれない」とも。

 若林さんは「淀川と隅田川を対比させたコーナーでは、『淀川両岸一覧』で伏見京橋が紹介されている。西国から来れば、伏見は京都と江戸への分岐点。現代でいうと、高速道路のジャンクションに併設されたサービスエリアが伏見で、交通の要衝として大いににぎわっていた様子を『淀川両岸一覧』は私たちに伝えている」と話す。

 「近代皇室儀礼コーナー」では、明治天皇伏見桃山陵に関する写真帳を展示する。「伏見城本丸跡の斜面を削り、伏見桃山陵を造営している写真では工事中の様子を見ることができる。写真は数少なく貴重」と若林さん。

 同コーナーではこのほか、昭和大礼の時のアルバムも展示し、平成、令和の時代は皇居で行われた「即位礼正殿の儀」が、1928(昭和3)年は京都御所で「即位礼紫宸殿の儀」として行われたことが写真で確認できる。

 若林さんは「展示を機会に東京と京都の相互理解が進めば。当館として展示を企画した原点でもある。残りの開催期間は短いが、足を運んでいただけたら」と呼び掛ける。

 開催時間は、平日=9時~18時、土曜・日曜・祝日=9時~17時。11月10日まで。

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