京都・伏見インフォメーションセンター伏見館(京都市伏見区東大手町)で11月25日、伏見観光ボランティアガイド「伏見 文化・観光の語り部」の認定式が行われた。
伏見は北部地域に伏見稲荷大社、東部地域には世界遺産の醍醐寺があり、京都南部有数の観光地として知られる。特に伏見稲荷大社は旅行サイト・トリップアドバイザーで「外国人に人気の日本の観光スポット 2018」に5年連続で1位に選ばれるなど、世界的な人気を誇る。一方で伏見中心部は「名水と酒蔵」「伏見城跡(明治天皇陵)」「港町(伏見港)」などの観光コンテンツを抱えるが、これまで情報発信ツールや受け入れのソフト面の充実などの課題を抱えてきた。
伏見区では本年度からその課題解決の一環として、京都市観光協会や伏見観光協会、商店街、伏見酒造組合、鉄道各社、JETRO京都などと連携する「伏見観光プロジェクト」を発足。課題解決に向けて関係者による会議を重ねている。並行して市民と連携した観光客の受け入れの仕組みづくりにも着手、伏見の魅力を伝える語り部の育成に取り組んできた。
この日はボランティアガイド研修を受けた10人や馬屋原宏伏見区長、伏見大手筋商店街振興組合の浅野雄祐理事長らが認定式に出席。NPO法人伏見観光協会の山仲修矢理事長から、会員認定証を授与された。同時に伏見の歴史を研究する団体・伏見城研究会の若林正博さん、植野彰さんには特別会員認定証が授与された。
会員を代表してあいさつをした江嵜(えさき)為丸さんは「このような場を設けていただいて感謝している。家族も喜んでくれると思う。ボランティアガイドはこれからが勝負。若い人が熱意を持って取り組んでやっていくことが長続きする秘訣。皆で伏見を盛り上げていきたい」と話す。
その後、自身もツアーガイドを務める若林さんの案内で認定者向けの実地研修を兼ねたガイドツアーを試行。ツアーコースに含まれる御香宮神社を訪問した。
若林さんは「伏見は豊臣秀吉の町という印象が強いが、徳川家康、秀忠、家光が将軍宣下を伏見城で受けるなど、徳川家との関わりも非常に強い。実際に江戸期の伏見は徳川家の天領だった。御香宮神社の拝殿は、紀州徳川家の藩祖・徳川頼宣の寄進で造営された。徳川の家紋である三つ葉葵が屋根瓦や矢切りに残っている。その他、京都では珍しい東照宮も祀られており、御香宮神社と徳川家の関係性がよく分かる」と解説。
「ツアーはガイドの個性が発揮できる場。それぞれの視点で伏見の魅力を発見、発掘して案内していただきたい」とアドバイスを送った。
ツアーは「山の伏見」「浜の伏見」「酒の伏見」の3つのモデルコースを用意。問い合わせは伏見観光協会(TEL 075-622-8758)まで。