9月4日に近畿地方を直撃した台風21号。吹き荒れた暴風雨から一夜明けた5日、伏見区や乙訓(おとくに)地域でも被害状況が明らかになってきた。
京都府長岡京市の山間部にある柳谷観音・楊谷寺(長岡京市浄土谷堂ノ谷)では、暴風の影響による倒木や石塔の倒壊、本堂の戸板が外れるなどの被害が発生。電柱が折れる被害もあり、復旧のめどは立っていないという。同寺の執事の日下恵さんは「これまで経験したことのない風だった。当寺に至る山道が倒木などで寸断され、一時的に陸の孤島状態になってしまったが、深夜に復旧して胸をなでおろしている。台風の風によるここまでの被害は、寺の記録にも残っていない。自然の前では人間は小さな存在だと改めて感じた」と振り返る。
伏見区内を流れる宇治川派流では、川沿いの柳並木が倒れるなどの被害が出ている。醍醐地区の長尾天満宮では、倒木が多数発生しており、表参道や裏参道からの通行が不能になっており、当面の間参拝ができない。
向島地区の巨椋池を干拓した農地でも、農家のビニールハウスが大破する被害が出ている。向島の農家・宮本ファームの宮本直嗣さんは「今年は地震から始まり、豪雨や3度の台風襲来など、大変厳しい夏になった。ビニールハウスで収穫を予定していたトウモロコシや路地植えのナスなども壊滅状態。ビニールハウスが使えないので、今後のハウス栽培で予定していた秋冬野菜も栽培自体ができず困っている」と話す。
長岡京市、向日市、大山崎町では、ホームページで「災害ゴミ処理やブルーシートの貸し出し」などの災害に関する緊急情報」を配信している。