京都市伏見区役所や区内の飲食店などで2月10日~12日、伏見発祥の寒天をPRするイベント「伏見寒天フェスタ」が行われる。主催は伏見寒天プロジェクト。
寒天は江戸時代前期、伏見御駕籠町の美濃屋太郎右衛門の手代(てだい)が、ところてんを外に置き忘れて凍らせてしまい、それが乾燥した状態で発見するという偶然の産物でできた。この発見により、総本家駿河屋で伏見名物の練りようかんが誕生するなど、伏見の歴史や食文化の形成に密接に関わってきた。
同プロジェクト代表で海藻のアラメを取り扱う植野伝次郎商店7代目の植野彰さんは「昨年に伏見の歴史を研究する団体『伏見城研究会』で、『伏見・植野家文書から寒天、そして町おこしまで』というテーマの研究成果の発表を行った。それがきっかけとなり、『伏見発祥の寒天を広めよう』という機運が盛り上がり、伏見区が市民活動を支援するイベント『ふしざく』に参加して、プロジェクトチームを立ち上げた」と背景を説明する。
植野さんらプロジェクトのメンバーは2017年春以降、「寒天のまち」をPRする大阪府高槻市や、長野県の寒天メーカーの伊那食品を視察するとともに、伏見御駕籠町の美濃屋があった場所を特定する研究も並行して行ってきた。今回のイベントは「その成果発表と発祥の地PRの場」として企画した。
期間中、2005年の寒天ブームのきっかけとなった論文を発表した、横浜市立大学医学部の栃久保修名誉教授の講演会(10日)、バレンタインデーに向けた「親子寒天スイーツ作り」のワークショップ(12日)を予定。そのほか、イベントに賛同する「伏見駿河屋」「油長茶舗」「カフェ桃山」「ドラーゴ」「トロケ」「おこぶ北淸」が寒天を使ったメニューを提供する。
植野さんは「12月になって地域の方から、所在不明だった美濃屋の確定に近づく古地図を頂いた。伏見城研究会などの専門家の協力の下、寒天発祥の地を特定して記念碑の建立を目指したい」と話す。
講演会は1階ホールで17時~19時。入場無料。先着100人。ワークショップは4階の青少年活動センターで13時30分~15時30分。材料費が別途300円必要。