京都市上京区の京都御苑内のレクチャーホールで8月13日、講演会「深草トレイルができるまで」が行われた。
深草トレイルは、「京都一周トレイル」の東山コースの一つで、伏見稲荷や大岩山、伏見桃山周辺など、「伏見の歴史と自然を楽しめる散策路」として親しまれている。
講演会は「住民と行政が一体となった、深草の取り組み」を紹介しようと、環境省・京都御苑管理事務所と京都市が連携する形で実現。京都市まちづくりアドバイザーの亀村佳都(かず)さんと白水育世さんが講演した。
講演会ではまず、京都市産業観光局MICE推進室の坪本大地さんが、「京都一周トレイルは、『東山』『北山東部』『北山西部』『西山』の約83.3キロの4コースと、約48.7キロの『京北』コースからなる」と説明。2003年からスタートした構想やコース設定、道標整備、広報活動などについて解説した。
続いて亀村さんが「深草トレイルは、『深草地域の歴史再発見と地域外にもそれらを発信』を目的に、2008年からコース設定や道標整備などがスタート。当初は『歴史探訪』『自然散策』の2コースを作った。道標は、京都市立伏見工業高校の生徒の協力を得て整備した」と話す。
「2009年2月のトレイル完成のイベント当日には、深草名産の竹を使用した『竹炭石けん』を500個用意したが、受付だけで1200人が来場。予想以上に地域住民の方が多く来てくれてうれしかった」とも。
「並行してコース近隣の大岩山周辺では、住民と行政が連携しながら2007年から不法投棄のゴミ回収活動を行ってきた。14回、延べ1000人が参加して115トンのゴミを回収。山頂付近には展望所の整備も行った。ゴミを拾うことで環境を守れる実感を感じたのもこのころ」「2010年に展望所が完成。大岩神社参道から伏見城北堀公園に至る3つ目のコース整備をスタートした」と亀村さん。
これらの整備を経て、2014年1月に深草トレイルは京都一周トレイルに加わった。亀村さんは「目に見えて歩く人の数が増えた。結果、ゴミを捨てる量も減るという『抑止力』につながった」と効果を話す。
この後、白水さんが「住民、行政、団体が参加する『深草まるごとネットワーク』が中心となって、大岩神社周辺の『倒木撤去』『雑木伐採』『水路の堆積土砂撤去』など、深草の里山を守る整備・再生活動は継続的に続いている」と現状を説明。
最後は、ふかくさ自然環境再生ネットワーク推進委員会の北野信義さんのインタビューを行い、講演会は終了した。
白水さんは「9月20日に再生活動イベントを行うので、ぜひ参加していただけたら」と呼び掛ける。