京都市伏見区の城南宮の神苑内「ギャラリー水石亭」(京都市伏見区中島鳥羽離宮町)で現在、「伏見御屋敷惣繪図」の展示が行われている。
この図は1786(天明6)年に描かれた絵図で、城南宮の鳥羽重宏宮司が京都国立博物館の宮川禎一さんに調査を依頼した結果、薩摩藩伏見屋敷の平面図と確認された。
薩摩藩伏見屋敷は藩主の参勤交代の宿所として建てられた。薩摩藩から13代将軍・徳川家定に輿(こし)入れした篤姫が、旅の途中に滞在したことでも知られる。
1866(慶応2)年、坂本龍馬が伏見奉行所の捕り方に襲撃された「寺田屋事件」の際、深手を負った龍馬が材木小屋に逃げ込んだところを薩摩藩によって救出され、船で運び込まれたのが同屋敷。
奉行所の龍馬引き渡し要求に対して拒否した薩摩藩。この事件を契機に、幕府と薩摩藩の関係は急速に悪化していき、最終的には大政奉還や、鳥羽伏見の戦いを経た明治維新へとつながっていく。
展示会では絵図の他、鳥羽伏見の戦いの際に戦勝祈願した薩摩藩の旗印や、鳥羽宮司がこれまで収集してきた書物や絵巻物なども同時に展示している。
城南宮の川崎重寿禰宜(ねぎ)は「これまで薩摩藩伏見屋敷は、所在地は確認されていたものの、敷地の大きさや形、建物配置や濠川との関係が分かっていなかった。今回の調査・確認は、江戸時代の伏見の様子を知るうえで大変貴重な資料。6月11日に鳥羽宮司が説明会を行うので、ぜひ足を運んでいただけたら」と話す。
説明会は6月11日 14時から城南宮斎館で行う(無料)。
展示時間は9時~16時30分。絵図の拝観料は一般600円、中学生400円。7月2日まで。