京都・大山崎町で2月9日、山本圭一町長が龍谷大学の学生たちを町案内する「まち歩きフィールドワーク」が行われた。
大山崎町と龍谷大学政策学部・深尾ゼミが連携して進める「大山崎町のPRプロジェクト」の一環。学生たちが大山崎町を訪問するのは、2016年11月の町役場でのミーティング以来2回目。
龍谷大学政策学部では、大学がある伏見区深草地域内で行政や地域との連携をテーマにした活動や、他地区の町おこしや町づくりを学生が学ぶプログラムを推進している。深尾ゼミでは2年生から3年生にかけて約1年間、候補地の中から学生たちが選んだ地域の活性化に取り組む。
本年度は「和歌山県有田市のワイン造り」「滋賀県東近江市の水車の活用」「大山崎町のPRプロジェクト」の3テーマが選ばれ、2016年11月から学生が活動を開始した。
大山崎チームは8人が所属しており、うち7人が女性。山本町長は「11月のミーティングの時、大山崎の特徴や推進しているプロジェクトを説明した。その際、学生の皆さんが一番反応したのが『ハートの町・大山崎』だった」と話す。
大山崎町は町の形がハート型をしているため、「ハートの町」とのロゴを作成し、パンフレットなどに活用している。
山本町長は「ハートをモチーフにした土産品開発やイベントなどが提案として挙がった。女性目線の面白いアイデアを今後もどんどん出してほしい」と期待を寄せる。
学生たちはこの日、山本町長や町の職員らの案内で「大山崎町歴史資料館」「国宝の茶室待庵(たいあん)」、昭和初期の環境共生住宅「聴竹居(ちょうちくきょ)」、山崎合戦時に羽柴秀吉が本陣を置いたという「宝積寺(ほうしゃくじ)」「アサヒビール大山崎山荘美術館」を巡った。
大山崎町歴史資料館では福島克彦館長が「大山崎は山城(京都)と摂津(大阪)にまたがって形成された国境の町。このように行政区が異なるのに一つの町として認められたのは歴史的にも珍しい」と町の歴史を紹介した。
妙喜庵にある待庵は、唯一現存する千利休の茶室として国宝に指定されている。茶室内は入室できないため、外から見ながら茶の世界を学んだ。
昭和初期の環境共生住宅「聴竹居(ちょうちくきょ)」は昭和初期の建築家・藤井厚二が建てた実験住宅。ガイド役の田邊さんは「西側の土手に土管を通したエアチューブで大阪湾から吹く偏西風を取り入れ室内に送風するなど、家中に工夫が凝らされた環境共生住宅。伊勢神宮の宮大工を引き抜き、素材の吟味から建築まで超一流の職人が建てた家は、築89年を迎えるが、全く手を入れなくても大丈夫」と話した。
「藤井さんの考えた環境共生住宅の考えは、現代の建築家も学ぶことが多い。世界中から年間4000人もの建築家がここを訪れる」とも。仕掛けや工夫を紹介されるたびに、学生たちは「こんなにすごい住宅があるなんて知らなかった」と驚きの声を上げていた。
今後、同ゼミでは、フィールドワークや町民へのアンケート調査などを重ね、11月に研究成果を発表する。