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京都・大山崎で「天王山ゆひまつり」 火縄銃演武や「京と大坂の蛙」原画展も

武者行列する太鼓隊や甲冑姿の参加者たち

武者行列する太鼓隊や甲冑姿の参加者たち

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 京都・大山崎町の大山崎町町役場や大山崎小学校周辺で11月6日、「第2回・天王山ゆひまつり」が行われた。主催は天王山にぎわい実行委員会。

京の蛙と大坂の蛙原画展

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 「天王山ゆひまつり」は、30年以上にわたって地元住民に親しまれてきたイベント「おおやまざき産業まつり」が生まれ変わって、2015年からスタートした祭り。それまでは行政と商工会が主催してきたが、地域住民の有志が立ち上げた団体が公募に応じ、名称や祭りの運営方法も変更した。

 天王山にぎわい実行委員会・実行委員長の島照子さんは「『ゆひ』の名の由来は、結ぶことや田植えなどを手伝い合うことを意味する『結ひ』。大山崎町の人と人を結び、地域のつながりを大切にしたいという思いを込めて名付けた」と話す。

 当日は、大山崎町役場前で「乙訓戦国つつじ」と「丹波亀山鉄砲隊」による「いざ出陣!! 甲冑(かっちゅう)隊による武者行列と火縄銃演武」で祭りがスタート。地元の子どもたちを交えた武者行列パフォーマンスも行われた。

 主会場の大山崎小学校の校庭では「飲食店」「雑貨」「バザー」「ワークショップ」など約40の店が出店した「天王山まーけっと」が開かれ、行列ができるなどにぎわった。ステージでは「こども竹太鼓」「空手演武」「子どもダンス」なども披露され、観客から大きな拍手が湧いていた。

 別会場では江戸時代後期の心学者で心学講話の第一人者、柴田鳩翁(きゅうおう)の天王山にまつわる講話「京の蛙(かえる)と大阪の蛙」にちなんだ原画展も開かれた。

 講話は、京都のカエルが大坂の町を、大坂のカエルが京都の町をそれぞれ見ようと旅に出るところから始まる。2匹のカエルが天王山で出会い、お互いの志を語り合い、京も大坂も山上から相互の町を見る。京都のカエルは「大坂の町は京都と同じだからしんどい思いをして行く必要はない」と言い、大坂のカエルも「京都は大坂と何ら変わらない。私も大坂に帰ろう」と別れる。カエルは目が背中についているので京都のカエルは京都を見て大坂のカエルは大坂を見ていたが、気づかずに勘違いしたという話で、目の付け所が間違っていると見えるものが見えないという例え話として「鳩翁道話」にまとめられている。

 この話は日本のイソップ童話として海外でも翻訳され有名だという。この話を子どものころに習ったというロシア文学者で画家セルゲイ・デニセンコさんと、大阪府島本町在住の日本画家やぶきせいこさんが「京の蛙と大坂の蛙」関連の作品を制作。ほかにも手作り作家のカエルの作品などが展示され、大勢の見物客が訪れた。

 大山崎町の山本圭一町長は「地域住民の皆さん主催になって今年で2回目だが、小学校での開催、地元企業のダイハツの参加、多数のブース出店など、行政主導ではできなかったことをやっていただけるので心強い。町と地域住民の皆さんと手をつないで、今後も歩んでいきたい」と話す。

 島さんは「1500人もの人が集まってくれて本当に良かった。いろんな方に助けていただいたおかげ。大人はもちろんだが、何よりも子どもたちにこの祭りを楽しんでほしい。いずれ成人して町を離れても、祭りではみんなと会える。帰ってくると友達や地域の人が待っていてくれるという『心のふるさと』になってくれたら」と思いを込める。

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