京阪電鉄の「京都日本酒電車」が9月17日、三条駅から中書島駅の区間で運行された。主催はJTB国内旅行企画。共催が「京阪電鉄」「伏見酒造組合」「京都酒造組合」。
日本酒電車は伏見を中心とする京都の日本酒と、京都の新進気鋭の料理人・シェフのおつまみ弁当を貸し切り電車で楽しんで貰うイベントとして企画され、今年で3年目になる。年々規模が大きくなり、今年からJTBが主催するようになった。これまで5月7日、同21日、9月3日の午前・午後に開催され9月17日が最終日。
この日の午前のイベントには全国から集まった141人が参加、「黄桜」「北川本家」「キンシ正宗」「招徳酒造」「鶴正酒造」「平和酒造」「松井酒造」「松本酒造」「都鶴酒造」「山本勘蔵商店」など10の蔵元の日本酒の飲み比べと、祇園おくむらの特製弁当を楽しんだ。
電車は三条駅を出発。着席した参加者に日本酒が振る舞われた後、車内放送で乾杯の発声が行われ、飲み比べがスタート。参加者は日本酒電車のロゴが入ったお猪口(おちょこ)で思い思いに日本酒を飲んでいた。各車両では、蔵元の担当者が自社の日本酒の作り方やこだわりを説明していた。
途中の淀駅ではトイレ休憩で停車し、駅にいた乗客が珍しいイベント電車を撮影する姿も見られた。
奈良県から参加したという40代の男性は「いろんなお酒を少しずつ飲み比べでき、美味しい料理を楽しめるのが楽しく、昨年に続いて参加した。蔵元の方の説明を聞けるのも貴重」という。友人で埼玉県から参加した20代の女性は「電車とお酒が両方とも好きなので、このイベントのために京都まで来た。関東では日本酒を電車で楽しめるイベントはあまりない。有名な祇園おくむらの弁当をこんな形で楽しめるのも魅力」と話す。
車内では弁当を提供している祇園おくむらのシェフの奥村直樹さんも、お猪口を片手に参加者と歓談。記念撮影に応じるなど交流を深めていた。奥村さんは「参加者の皆さんとの距離が近く素晴らしいイベント。日本酒と合う料理をテーマに作ってきたので、日本酒と料理の味を一緒に楽しんで頂けたなら嬉しい」という。
電車は樟葉(くずは)駅で折り返して終点の中書島に到着し、イベントは終了した。
JTBの広報室・室長の荒井寛子さんは「各方面の皆さんのご協力で実現できた企画なので感謝したい。9月の日本酒電車はかなり早い段階で完売するなど、人気の高まりを感じる。女性の参加者の方が7割を超えているのもイベントの特徴。日本酒と有名シェフの料理を楽しむというコンセプトが支持されている結果だと思う。今後も京都の料理や伏見の酒など、地域の宝をご案内して行きたい」と話す。