京都・アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府乙訓郡大山崎町銭原)で現在、開館20周年を記念した企画展「うつくしいくらし、新しい響き クロード・モネ」が開かれている。
同美術館は関西の実業家・加賀正太郎が大正から昭和初期にかけ建設した「大山崎山荘」を創建当時の姿に修復し、1996年4月に開館した。山荘は平成初期にはかなり荒廃して廃虚のような姿になっていたという。加賀はニッカウヰスキーの設立にも参画、アサヒビールの初代社長・山本爲三郎と同じ財界人として深い親交があった縁から、大山崎町の要請を受けた同社が山荘を復元し、美術館として再生した。
館内は「本館」のほか、建築家・安藤忠雄さんが設計した「地中館(地中の宝石箱)」「山手館(夢の箱)」で構成され、約5500坪の庭園も有名。2004年には、「大山崎山荘」の6つの建物、「霽景楼(せいけいろう)」(現本館)、「彩月庵(さいげつあん)」(茶室)、「橡ノ木(とちのき)茶屋」、「栖霞楼(せいかろう)」(物見塔)、「旧車庫」(現レストハウス)、「琅●洞(ろうかんどう)」(庭園入り口トンネル)が国の有形文化財として登録された。●=王へんに干
同館はクロード・モネの傑作「睡蓮(すいれん)」の連作5点や山本爲三郎が支援した民藝(みんげい)運動ゆかりの作品群、約1000点を所蔵している。
同展では同館所蔵8点を含め、国内美術館から厳選した前後期計20点を展示。同館広報の芦刈(あしかり)歩さんによると「モネをテーマとした当館の企画展では過去最大規模の展示」という。
山手館では国内の美術館から厳選された「サン=シメオン農場の道」(泉屋博古館分館)「貨物列車」(ポーラ美術館)「サンジェルマンの森の中で」(吉野石膏株式会社、山形美術館に寄託)「エトルタの朝」(アサヒビール大山崎山荘美術館)「ジヴェルニーの積みわら、夕日」(埼玉県立近代美術館)「ポール=ドモワの洞窟」(茨城県近代美術館)「ジュフォス、夕方の印象」(群馬県立近代美術館、群馬県企業局委託作品)「ロシュ=ブロンの村(夕暮れの印象)」(三重県立美術館)「ジヴェルニーの草原」(福島県立美術館)「テムズ川のチャリング・クロス橋」(吉野石膏株式会社、山形美術館に寄託)「菫(すみれ)の花束を持つカミーユ・モネ」など、地中館では「睡蓮」連作5点「アイリス」「日本風太鼓橋」などジヴェルニーで描かれた同館所蔵作品を展示。本館ではモネがギュスターヴ・ジェフロワへ宛てた手紙も展示している。
芦刈さんは「モネの魅力を余すことなく展示している。これから紅葉も見頃を迎えるので、ぜひお越しいただきたい」と呼び掛ける。
開館時間は10時~17時。入館料は一般:900円(団体:800円)、高・大学生500円(団体:400円)、中学生以下:無料。12月11日まで。