竹と寺社仏閣の古材を用いた「酒器と茶道具展」が9月20日・21日、京都府長岡京市の老舗料亭・錦水亭の「芳浩庵(ほうこうあん)」で開かれる。主催は高野竹工。
高野竹工は、良質の竹の産地として知られる京都府長岡京市に工房を構える竹工メーカー。竹に限らず、古材(廃材)の復興、復活、再生にも注力しており、金閣寺、銀閣寺、国宝茶室「待庵(たいあん)」など協力を得て、茶道具や酒器を作り上げている。そのほか、「TOHOシネマズ二条」の館内壁面、「京都迎賓館」の調度品、嵐山駅コンコースの天井と壁なども手掛ける。
今回のイベントについて同社広報の鯵坂兼充さんは「多くの企業と同様、当社もコロナ禍で経営の危機に直面している。『ただ黙って終焉(しゅうえん)を迎えるのか、それとも企業体質そのものを見直し、今の状況に柔軟に対応していくのか』という選択肢の中で、私たちは後者を選択した。展示会は竹文化の素晴らしさと共に当社の仕事、存在を広く知っていただくための発信の場」と解説する。
当日は、同社の指し物、漆、蒔絵(まきえ)などさまざまな技を持つ職人が製作した茶道具や酒器を展示するほか、竹の地下茎(根っこ)を生かした竹印受注会を行う。21日には滋賀の蔵元・冨田酒造との試飲会を行う。
「冨田酒造と試飲会を行うのは2回目。当社のアンテナショップ・篁(たかむら)のスタッフの林智子と冨田酒造15代目の冨田泰伸さんが知り合い同士で試飲会を企画。篁で開催した試飲会が好評だったので、今回も開催することになった」と鯵坂さん。
試飲会では、冨田さんをゲストに招く他、同社の竹林管理のチームスタッフと共に、保管、維持が難しい素材である青竹の酒器を使って「七本鎗」の試飲を楽しめる。
鯵坂さんは「当社では竹の育成から携わるなど、素材との対話を長年重ねながら、竹や古材などそのモノ自体が持つ魅力を、道具に変えてご提示している。今回の作品展では、作品を通して竹材や古材の良さを知っていただくとともに、地元の竹材が作品として生まれ変わるプロセスにも注目してほしい。八条池の水面に佇む数寄屋造りの部屋から美しい庭園を眺めながら、当社の職人が丹精を込めて作り上げた品々をゆっくりとご覧いただければ」と呼び掛ける。
開催時間は10時~17時。試飲会は21日のみ5部構成(各回定員4人)で行う。1部=13時~14時、2部=14時15分~15時15分、3部=15時30分~16時30分、4部=16時45分~17時45分、5部=18時~19時。入場チケットは3,000円。高野竹工のホームページから要予約。試飲1杯&八寸付き。使用した青竹ちょこと竹箸は持ち帰れる。問い合わせは高野竹工(TEL 075-955-2868)まで。