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龍谷大で映画「地蔵とリビドー」試写会 障がい者施設アーティストの創作描く

映画「地蔵とリビドー」監督の笠谷圭見監督とやまなみ工房施設長の山下完和さん

映画「地蔵とリビドー」監督の笠谷圭見監督とやまなみ工房施設長の山下完和さん

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 京都市伏見区の龍谷大学で7月5日、ドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」の試写会が行われた。主催は、龍谷大学人権講演会と同政策学研究科「コミュニティメディア研究」。

 障がい者福祉施設「やまなみ工房(滋賀県甲賀市)」の知的障がいや精神疾患を抱える、アーティストの創作活動を描いた同作。今回の試写会は、龍谷大学社会学部の松本拓助手、青木恵理子教授が同工房の作品展を開催したことや、松浦教授の同工房の活動推薦などが縁となり、やまなみ工房からの働きかけが契機となった。

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 同工房施設長の山下完和(まさと)さんは「一般的に『福祉施設とは下請け作業などを請け負うもの』という既成観念があるが、当施設では制限を一切なくし、各々がアーティストとして『作りたいもの』を作ってもらっている。その活動の大きな支えになったのが、同作の監督でクリエーティブディレクターの笠谷圭見(よしあき)さんとの出会いだった」と振り返る。

 山下さんと笠谷さんが出会ったのは6年前。当時、大阪の別の施設の仕事をしていた笠谷さんが、山下さんの講演会に参加したことから始まった。「山下さんのロックな身なりにも驚いたが、障がい者の皆さんと対等に接して新しいことにチャレンジしている姿に衝撃を受けた」と笠谷さん。

 すぐに同工房を訪れた笠谷さんは、自由に創作活動に取り組む姿や、雰囲気や空気感にもさらに大きな衝撃を受ける。

 笠谷さんは「そしてその創作物のクオリティーの高さに触れた時、障がい者を取り巻くネガティブな問題は、彼らの特異性に起因するのではなく、周縁者がつくり出している、ということに気がついた」と話す。

 それをきっかけにして、笠谷さんと山下さんは「さまざまな分野のスペシャリストが積極的に知的障がい者の創作に関わり、協働(コラボレーション)することで、社会的接点がなかった彼らの活躍の場を広げ、新しい価値創造を行う」という理念を掲げて活動をスタート。これまで、「DISTORTION(ディストーション)=ねじれ」をテーマに、写真集の発刊、ファッションブランドの立ち上げ、創作品の展示会などに取り組んできた。今回の作品はその一環。

 当日の試写会には松浦教授の指導する学生など約30人が参加。9つのオムニバスで構成された映画を、食い入るように観る姿が印象的だった。

 上映後のトークショーで山下さんは「一番変わったのは、家族や周縁者の見方。これまで家族にとって重荷だった彼らの存在が、誇りに変わった。『障がい者支援とは、彼らの本音と向き合って本来の姿を見せること』だと改めて学んだ。この本質を理解して広がっていくことが重要」と話す。笠谷さんは「社会とは勝手な上からの目線や価値観で既成概念を構築していく。この映画は、自分の目で見て正しいものを感じることの大切さをメッセージとして盛り込んでいるので、これから社会に出ていく若い人にぜひご覧いただければ」と呼び掛ける。

 映画は秋に一般公開される。情報は「地蔵とリビドー」の公式ウェブサイトで発信していく。