京都市の伏見区役所で10月30日、「日本初の電気鉄道『チンチン電車』パネル展」が始まった。主催は「伏見チンチン電車の会」。
同イベントは、区の呼び掛けで来年に明治150年を迎えるにあたって京都市が行うプロジェクト「明治150年・京都の奇跡プロジェクトについて」のプレイベントにも指定されている。
伏見は日本初の電気鉄道の営業路線が走った地として知られ、老舗の和菓子店「伏見駿河屋」の店舗前には「電気鉄道事業発祥の地」の石碑が立っている。一方で、開業当時の伏見の様子が残っている写真は少なく、今回、伏見区の市民参加型イベント「ふしざく」で、当時の様子を研究する同会が発足した。
同会の代表の竹場真司さんの説明によると、琵琶湖疏水の蹴上(けあげ)で発電した電力を利用して、1895(明治28)年、日本初となる電気鉄道の営業路線が開業。京都市内から伏見町下油掛までの約6.3キロを片道40分で走行。同年に開催された「第4回内国勧業博覧会」への来場者の足としてこの区間を結んだという。当時の伏見は、大阪八軒家浜(天満橋)との間を蒸気船が走っており、「京都~大阪間の交通の要衝だったという背景がある」と解説する。
今回のパネル展については「伏見在住の方でも伏見が『電気鉄道事業発祥の地』だということを知らない人は意外と多い。『酒蔵のまち伏見』が強調されるが、それ以外にも伏見には隠れた魅力が多い。パネル展を通して、伏見の魅力を再発見していただきたかった」と開催の目的を話す。
見どころについては「パネルで琵琶湖疏水の歴史と電気鉄道の関連性を詳しく説明し、伏見区内を走行している京都市電当時の写真も展示している。その他、開業当時の電車を再現したペーパークラフトの模型も。開業当時は側面が7枚窓だったが、その後9枚窓の車輌に変更された違いなどを再現しているのでご覧いただけたら」とアピールする。
開場時間は8時30分~17時。入場無料。11月10日まで。