京都市伏見区向島の訪問看護ステーション「まちの保健室」(京都市伏見区向島四ツ谷池)に10月11日、ベトナムのホーチミン市医薬大学の視察団が訪問した。
まちの保健室を運営する健幸プラスは「地域医療と地域をつなぐ」ことを目的に2014年に設立。提携する「むかいじま病院」の管理栄養士が監修する「健幸弁当」の配食サービスを同病院の患者向けにスタートし、食生活から地域の健康を支えてきた。
2016年には訪問看護と訪問リハビリの事業をスタート。今年の8月には、地域の包括システムの拠点として「まちの保健室」をオープンした。
現在は毎月、利用者40人(訪問件数約200件)の患者の床ずれケアを含む看護ケアなどを行っており、将来的には500件~600件のケアをできる体制づくりを進めている。
今回の視察は、ホーチミン市医薬大学と学術交流協定を結ぶ「宝塚医療大学」が仲立ちする形で実現した。
当日は同大学のリハビリテーション医師3人が「むかいじま病院」「さいわい介護センター」「健幸プラス」を訪問した。
同病院では、在宅復帰にむけたリハビリテーションを目的とした「回復期リハビリテーション病棟」を視察。案内役を務めた岩城隆久さんが「普段の生活に対応できるサポート体制がリハビリには重要なので、在宅ケアに力を入れている」と説明した。
続いて訪問した健幸プラスについて岩城さんは「まちの保健室では、地域住民の健康相談やストレッチングや筋力トレーニングの健幸教室も開催しており、向島地域の医療福祉に係る課題をひとつひとつ解決できるように取り組んでいる」と解説。
その後、健幸弁当の試食を行いながら、意見交換を行った。
ナム医師は「このシステムをわずか2年程度で構築したことに驚いた。向島地域の高齢者の方は安心だと思う。ベトナムと日本の医療保険制度の違いはあるが、リハビリテーションが地域をつなぐ重要な役割をしており、リハビリテーション医師として今後このシステムをベトナムでも構築できるようにしたい」と振り返る。
むかいじま病院の大濵院長は「このような取り組みは地域住民の声や要望から成り立っている。超高齢社会では地域に密着し各施設と連携を取りながら、地域の声に応えることができる医療が大切。当病院は2年前から向島地域の住民の声を大切にし、私も向島ニュータウンまちづくり会議に参加してきた。今後も市民の皆さんに寄り添いながら地域に貢献でしていきたい。ベトナムでもこのようなモデルを活用していただければ」と話す。