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伏見・向島で京都の酒米「祝」の田植えイベント 学生や家族連れも笑顔で参加

笑顔で酒米の田植えをする参加者

笑顔で酒米の田植えをする参加者

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 京都市伏見区向島の種智院大学(京都府京都市伏見区向島西定請)で6月4日、酒米の田植えイベントが行われた。主催は京都酒林会。

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 同イベントは、京都の酒米「祝(いわい)」の田植えを行い、7月には「虫おくり」という、篝火(かがりび)で虫をおびき寄せて退治する伝統的な害虫退治を、10月に稲刈りをする3回コースのイベント。一般参加者を募集する形になって今年で2回目。

 参加者には向島の農家「山田ファーム」「中嶋農園」で採れた野菜、「城陽酒造」「増田徳兵衛商店」の日本酒が届けられる。

 同イベントで使用される「祝」は、京都で戦前に作られた酒米。人間の背丈を超える特徴があり、台風などの風雨に弱く育てにくいため、戦後は「山田錦」などの米に切り替えられ、一時期使用されなくなった。

 「祝」の復活に関わった山田ファームの山田豪男(ひでお)さんは「山田錦が全国で使用されることによって、味が均一化されて地酒の特徴が薄れていくことに危機感を覚えた。1992年に京都農業試験場に残っていた籾(もみ)をもらい受け、復活するプロジェクトをスタートさせた」と振り返る。

 その後、伏見の酒販売店の「津乃嘉商店」の店主の井上雅晶さんが、農作業を手伝うなど交流がスタート。祝を使用した日本酒の開発を目指し活動を行い、それに賛同した「城陽酒造」「増田徳兵衛商店」と共同で祝の日本酒造りが本格化した。

 この日は伏見区内の家族連れや学生など約50人が参加。田植えを行った後、採れたてのトマトや中嶋農園の古代米「武士米」、城陽酒造の「南山」、増田徳兵衛商店の「月の桂・塩鯛」などが振る舞われた。

 同イベントに参加した同志社大学社会学部4年生の辻絢佳さんは「所属している藤本昌代先生のゼミ生たちと参加した。現在、日本酒をテーマにした卒論を書いている。田植えの大変さも実感でき、実際に酒造りに携わっている人といろいろな交流ができるなど、貴重な経験になった」と笑顔で話す。

 井上さんは「『南山』は陶芸家の伊藤南山さん、『月の桂・塩鯛』は落語家の桂塩鯛さんとのコラボ企画。この田んぼなど向島で育った米を、来年に日本酒として楽しめるのが、このイベントの魅力。また虫おくりや稲刈りで皆さんと再会できるのが楽しみ」と話す。

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