京都府八幡市の石清水八幡宮の「雄徳山(おとこやま)茶園」で5月6日、天皇陛下に献上する茶摘みと手もみ製茶が行われた。主催は「石清水八幡宮献茶講」。
石清水八幡宮は日本三大八幡宮の一つ。平安時代の860年に創建された歴史ある神社で、男山の山上に鎮座する。京都の南西の裏鬼門の守護神として、皇帝や朝廷から厚い信仰を受けてきた。9月15日に行われる「石清水祭」は、「賀茂祭(葵祭)」「春日祭」とともに「日本三大勅使祭」の一つとされる。
献上茶の儀式は毎年、「石清水八幡宮献茶講」の講員らによって八十八夜前後に茶園で行われている。同神社権禰宜の浄見(きよみ)僚さんは「当茶園は一度閉園されたが、2004年に境内を整備して、現在の場所に再開園した。その時に雄徳山茶園という名称になった。茶園には『やぶきた』『ごこう』『うじひかり』が植えられており、その茶葉を手摘みで収穫していく。同儀式は今年で65回目」と説明する。
製茶をする献茶講は1947(昭和22)年、茶業振興を目的に宇治・山城地区の献茶家によって作られた団体。同献茶講の副講長の山下寿一さんは「以前は900人の講員がいたが、現在は350人の講員がいる。今年は茶葉の成長が遅く心配したが、無事にこの儀式を開催できて良かった」と話す。
この日は7時から神職によっておはらいが行われた後、約20人の講員が茶園に入り、11時までに60キロの茶葉を摘んでいった。摘まれた茶葉は、同茶園の敷地に設置された薪の蒸し器で蒸し、続いてうちわで熱を冷ましていく。その後、「茶切り」「でんぐり」などの手もみの作り方で、3キロの茶葉を一日がかりで製茶した。
浄見さんは「毎年、天皇陛下へ献上するお茶をお作りできるのは大変光栄なこと。今年も良いお茶を作れて良かった。この後、5月末に宮内庁を通して陛下にお茶をお渡しする予定」と話す。