京都市伏見区役所で2月23日、龍谷大学大学院政策学研究科と京都中小企業家同友会伏見支部が連携する「龍谷大キャップストーンチーム」の発表会が行われた。
「キャップストーンプログラム(Capstone Program、以下、CS)」は1990年代に米国で考案された、公共政策・公共行政分野における実践的教育プログラム。同大学では日本のCSの第一人者・龍谷大学政策学部の青山公三教授が中心となり、「地域公共政策士資格取得のための総仕上げ」「地域公共人材を育成すること」などを目的とした大学院の修士プログラムを実施している。
2016年度からは「京都中小企業家同友会伏見支部」と連携。6人の大学院生と同友会メンバーが主体となって「伏見の水」をテーマに地域課題を解決していくプログラムを実践しており、今回はその1年間の活動の集大成となった。
この日は「同友会メンバー」「行政関係」「教育関係」「自治会」「商店街」「NPO法人」「市民活動グループ」など、約50人の伏見の地域関係者、約80人が参加して行われた。
冒頭のあいさつで青山教授は「1年間クライアントとして支援していただいた同友会に感謝している。12月、1月はほぼ毎週、同友会メンバーも参加して、一緒に活動してきた。その姿勢に院生メンバーも大きな影響を受けた」と、これまでの経緯を説明した。
続いて院生メンバーが「アンケートやまち歩きを重ねてワークショップを実施してきた。その中で『団体ごとに情報発信しているので、まとめて発信する場が必要』『若年層の意見として、伏見の歴史、特性を学べる場を作る』『活動している団体のつながりが少ない』」と伏見区の課題を説明。
活性化のアクションプランとして「伏見・まつり部(有料体験型観光の受け皿)」「伏見ファーマーズマーケット(水辺マルシェ)」「日本遺産登録で地域経済再生」「クラウドファンディングの活用」など21のプランを発表した。
休憩時間には、青山教授が米国で活用していた「クエスタント」というスマートフォンでアンケート集計できるソフトを使い、アクションプランで最も興味があったのは「琵琶湖疏水(鴨川運河)の活用」など、参加者が回答した結果を即座に発表した。
その後、伏見副区長の山本一宏さん、伏見大手筋商店街振興組合理事長の浅野雄祐さん、同友会伏見支部幹事の長村(おさむら)達也さん、院生メンバーの片桐悠さんによるパネルディスカッションが行われ、「横の連携」というテーマについてなど活発な意見交換が行われた。
青山教授は「多くの方と伏見の現状や課題を共有できたのは良かった。今回の発表はゴールではなくスタート。地域や団体など横の連携を強めることで、間違いなく大きな力になる。今回がそのきっかけになれれば」と総括した。