伏見の老舗酒蔵・山本本家(京都市伏見区丹後町)が主催する酒米作りの稲刈りイベントが10月2日、伏見区内で開催された。
酒米作りのイベントは今年で3年目。京都の酒米「祝(いわい)」を伏見の井戸水で育て、京都酵母を使用し、種麹(こうじ)は京都菱六の麹を使うなどして、オール京都産の日本酒を造る。
酒米の「祝」は1933(昭和8)年に京都府立農業試験場丹後分場で「野条穂」の純系分離によって誕生。低タンパク質で酒造適性が非常に高い、吟醸酒向きの良質品種として戦前・戦後に盛んに栽培された。その後、1974(昭和49)年以降、収量が少ない「祝」は一時作られなくなったが、1988(昭和63)年に伏見酒造組合の働き掛けによって、府立農業総合研究所などで栽培法を改良。試験栽培をスタートし、1992年に「祝」を使った酒造りを再開した経緯がある。
この日のイベントには5月下旬に田植えを行った36人のうち29人が参加した。山本本家取締役の山本晃嗣さんは冒頭に「心配していた天気も良くなり、今回も多数参加していただいてうれしい。5月に植えた稲が暑かった夏を超えて、見事に実った。実りの秋を実感しながら楽しく稲刈りしてほしい」とあいさつ。
10時から農家らの指導の下、稲刈りを行った。初めて持つ鎌やこのところ続いた大雨の影響でぬかるむ泥に悪戦苦闘する姿も。約2時間で稲刈りが終了すると、程よく冷やされた日本酒が振る舞われ、参加者同士で交流を深めた。
参加者は冬場に酒造りを体験して、最終的にできた酒と酒かすを受け取る。