1582年7月2日(旧暦6月13日)は、織田信長を本能寺の変で討った明智光秀と、羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)が戦った日だ。俗に言う「山崎の合戦」で、大山崎町や長岡京市を含む乙訓地域は合戦の舞台となった。
まさしく天下分け目の合戦。勝者は天下人となり、敗者は三日天下に終わる。
数時間で雌雄を決したこの戦いは、日本の歴史上でも歴史的価値が高いとされ、またドラマや映画などに登場した回数が多く、人気の合戦と言われている。
現在、大山崎町は隣町長岡京市などと共に、NHK大河ドラマ誘致を推進している。明智光秀やその娘の細川ガラシャ、細川幽斎、忠興親子などをテーマにした大河ドラマ誘致であるが、大山崎町は明智光秀に敬意を払いながらも、勝者羽柴秀吉推しだ。
今、天下分け目の天王山を大山崎町は、観光資源として活用しブランド化する計画を進めている。そのリーダーである大山崎町の山本圭一町長に、「山崎の合戦」当日に、天王山ブランド化について話を聞いた。
山本町長は「天王山と言う日本でも有数の歴史的価値を持つ山を、観光資源として活用していきたいと考えている。標高は270メートルであるが、ここまで様々な要素が集まった山はそれほどあるものではないと思う」「歴史背景以外にも登山、ハイキング、町の散歩など、観光客を引きつけるコンテンツが揃っている。課題は多いが、由緒ある寺院、美術館、カフェなどをもっとアピールしていきたい」と話す。
そんな大山崎町が仕掛け、最近話題になったのが天王山夢ほたる公園(大山崎町字円明寺小字一丁田)で6月11日に実施した「大山崎天下取り決戦祭」だ。このイベントは、天王山の戦いの京都府大山崎町と、関ヶ原の戦いの岐阜県関ヶ原町が、天下取りブランド構築事業「関ヶ原町VS大山崎町」として共同で実施しているプロジェクトの一つだ。
大山崎町と関ヶ原町で天下取りブランドNO.1を徹底的に張り合うことで話題を作り、テレビニュース取材も入るなど、同町長は手応えを感じている。もともとこの事業は、大山崎町が今年2月、天下分目の歴史的合戦があった町同士で連携しようと、関ヶ原町に提案し協議の上、実現した。
「ここからがスタートと考えている。私の思いとしては、修学旅行客などをどんどん取り込んでいきたい。限られた予算なので、何でも出来る訳ではないが、大山崎町には民間において、非常に優れたアイデアを持つ人々がおり、協力しながら天王山を一級の観光地として育てていければと思っていると」と締めくくった。
同町長によると、大山崎町から関ヶ原町までの観光電車を走らせる計画もあるとか。天王山ブランドを育てるだけではなく、天下分け目の合戦勝負など、勝負の町としても売り込む構えだ。