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伏見・今年復活を遂げた伏見の松山酒造 新酒の出荷がピーク迎える

杜氏の高垣さんは真冬でも半袖のTシャツ姿

杜氏の高垣さんは真冬でも半袖のTシャツ姿

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 1年半の休造期間を経て、今年の1月に復活した松山酒造(伏見区東堺町)が現在、新酒「十石」の出荷のピークを迎えている。

松山酒造の様子

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 松山酒造は1923(大正12)年創業。1958(昭和33)年に月桂冠グループの傘下に入り、一時は年間5000石もの生産量を誇っていたものの、近年の清酒の消費量の落ち込みに加え、設備の老朽化、コロナ禍による需要減なども重なり酒造りを休止していた。2023年より全国新酒鑑評会で計8度の金賞受賞経験を持つ高垣幸男さんを月桂冠より杜氏として迎え入れ、新ブランド「十石」で酒造りの再スタートを切っていた。

 「十石」という酒の名前の由来は伏見の水運を担った十石舟にちなんだもの。同社販売主任の酒井美里さんは「伏見は京都の玄関口。十石舟は交通、運送で活躍し、人々の暮らしに自然になじんでおり、なくてはならないものだった。私たちが造る酒も同じように、日々の暮らしになじんでいけたら。小さな舟からこぎ出して、いずれ大海へと繰り出していきたいという思いもある」と話す。

 高垣さんは「水、米、こうじ、酵母といった酒造りの材料は全て京都産のものを使っている」と話す通り、酒造好適米は京都府産の「祝」、酵母は京都市産業技術研究所が独自に開発してきた「京都酵母※京の琴」、こうじ菌には創業350年余の歴史を持つ「菱六もやし」(東山区)の種もやしを使っている。

「地元の皆さんはもちろん京都へ観光に来た人に、これが京都の酒だよ、と自信をもって薦められる正真正銘の京都の酒を造ることを目指している。月桂冠で酒造りをしていたときは分業制で、チームで取り組んでいたが、今は全ての作業を自分一人で行っているので、出来上がった酒に対する愛着もひとしお。生産量はまだまだ少ないが、これからも自分の目の届く範囲で品質の高い酒を醸していければ」と意気込む。

 同蔵は今後も全て京都産の材料を使い、特定名称酒に絞った酒造りを行っていく予定。3月には蔵開き、4月には酒の神さまとして有名な松尾大社で行われる「酒‐1グランプリ」にも出場する。

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