京都・アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府乙訓郡大山崎町)で4月14日、イベント「先生5度目の京都訪問が実現 漱石アンドロイドが大山崎山荘へ」が始まった。
同館広報担当学芸員の芦刈歩さんは「2017年は大山崎山荘第1期工事竣工100年と夏目漱石の生誕150年に当たる。これを記念して、当館では3月18日から『生誕150年記念 漱石と京都-花咲く大山崎山荘』の展示を行っており、今回はその企画の一つ。1915(大正4)年4月15日に、漱石が大山崎山荘のかつての主、加賀正太郎の招待で建設中だった山荘に来た縁もあり、102年ぶりの再訪となる」と話す。
夏目漱石のアンドロイド「漱石アンドロイド」は、かつて漱石が在籍した学校法人二松学舎が140周年を記念して、大阪大学と連携して作ったもの。写真データやデスマスクなどから外見を再現した。背格好が似ているという、漱石の孫で学習院大学大学院教授の夏目房之介さんの音声データを約12時間掛けて収録し、声を人工音声で再現するなど、リアルな夏目漱石像を再現する。
AI(人工知能)は搭載していないが、事前プログラミングやパソコンによる遠隔操作などにより、朗読や講演を行うことができる。
学校法人二松学舎・常任理事の西畑一哉さんは「このアンドロイドは『二松学舎の中学・高校・大学の教育現場で使用される』『それぞれの人が持っている漱石へのイメージを再構築するきっかけになる可能性がある』『漱石という著名人を再現したアンドロイド』などがポイント。中学~大学まで教育現場で使用することで、継続的に生徒たちの反応をデータ化できる。これは今後想定されるAIとアンドロイドとの共存というテーマの実験という意味合いもある」と話す。
14日は計5回「漱石アンドロイド」が披露された。囲いの中から登場した漱石アンドロイドは「座ったままで失礼します。皆さんご無沙汰ですね。ほぼ100年ぶりでしょうか。昔、夢十夜という小説の中で100年待っていてください。きっと会いに来ますからというセリフを書いた覚えがありますが、100年待っていていただいてありがとうございます」とあいさつ。続けて「私の個人主義」を講演した。
芦刈さんは「当館のスタッフ一同、102年ぶりの夏目漱石の山荘への訪問を心待ちにしていた。アンドロイドをご覧になると、そのリアルで自然な表情や動きに、きっと驚かれると思う。ぜひ、この機会に生の漱石の魅力を感じていただければ」と呼び掛ける。
開館時間は10時~17時。入館料は、一般=900円、障がい者=300円、高・大学生=500円、中学生以下無料。本イベントは4月16日まで。