京都市伏見区の「月桂冠大倉記念館」を3月14日、新潟県上越市立城北中学の生徒が訪問し、新潟と京都の酒造りの違いなどを学ぶ課外授業が行われた。
新潟県上越市は地域活性化などの市民活動が盛んな地域で、「メードイン上越」の産品ブランディングを地域一体となって取り組んでいる。その担い手を育てる目的で、各中学校が地域活性化教育にも力を入れている。
城北中学も3月の京都への修学旅行の課題として「新潟と京都の産品の比較」を取り入れており、160人の生徒たちが「伝統工芸品」「食文化」「木材加工品」「農産物」などテーマの中から課題を選び、グループで訪問、研究・発表する。
この日は同中学2年の、石水鴻(こう)さん、加藤琴乃さん、松原真花(まなか)さん、廣瀬和真さん、津村拓也さんの5人が訪問。同記念館主任で博物館学芸員の資格を持つ三輪祥智(よしとも)さんから日本酒の造り方などを学んだ。
三輪さんは「全国でお酒の生産量は1位が兵庫県、2位が京都府、3位が新潟県。新潟は『五百万石』という新潟産の酒米を使っているが、月桂冠でも福井産の『五百万石』も使っている。水も共に軟水なので、お酒としては近い。以前は新潟の高校は酒造りの授業があった影響もあり、最盛期には40人の新潟出身の社員がいた」などと、新潟と京都や月桂冠の違いや関わりを説明した。
年間を通して酒造りのできるミニプラント「月桂冠酒香房(さけこうぼう)」では、酒米の稲や酵母菌、発酵室などについて、用具などの展示館では「以前、お酒は樽(たる)に入れて酒屋に卸販売していた。一般市民は『通い徳利(とっくり)』を酒屋に持っていき、入れてもらって家で飲む習慣だったので、瓶詰めのお酒はなかなか広まらなかった。それを広めるために、『ふた付きガラス瓶』を開発して、全国の300駅の売店で販売した。ガラス瓶で飲む習慣はそこから広まった」と、月桂冠の歴史などの説明を受けた。
月桂冠見学チームの班長の石水さんは「大変親切に教えていただいたので、新潟と京都の違いがよく分かった。新潟の酒蔵も見学に行きたい。京都は歴史を感じる街並みが印象的なので、また来たい」と話す。
同校の教諭でコース主任の佐藤直己先生は「新潟県上越市は、発酵や醸造に関する研究の世界的権威・坂口謹一郎の出生地なので、生徒たちがお酒を課題に選んだ」と話す。今回の研究成果は市内の中学生が参加する「中学生まちづくりワークショップの活動発表会」で発表する予定といい、「京都ブランドを学んで上越ブランドの担い手となってくれたら」と期待を寄せる。