京都府長岡京市の「柳谷観音・楊谷寺(ようこくじ)」(長岡京市浄土谷堂ノ谷)と通販会社のフェリシモ(神戸市中央区)とがコラボした「仏像なぞり塗り絵」が3月17日、発売される。
楊谷寺は806年、清水寺の開祖延鎮(えんちん)により建立された。空海が祈とうを施し、眼病に悩む人々のために霊水にしたという独鈷水(おこうずい)や重要文化財の「十一面千手千眼観世音菩薩(じゅういちめんせんじゅせんげんかんのんぼさつ)」など、眼病祈願の寺として信仰を集める。代々の天皇家や豊臣秀吉の側室・淀殿ゆかりの寺、近年はアジサイの寺としても知られている。
今回のコラボは、お寺カルチャーコミュニティー「フェリシモおてらぶ」とゼブラが共同で企画開発した「サラサクリップ×仏像なぞり塗り絵」の商品の一つ。全国の寺院のオリジナル写仏キットなどを開発してきた「フェリシモおてらぶ」からの呼び掛けで実現した。
同菩薩を10色のペンを使ってなぞっていく。なぞった塗り絵を同寺に持参すると、「楊谷寺の名」「奉拝」「日付」などを記入してもらえる。
同寺ではこれまでも、執事の日下恵さんの発案で「アジサイ押し花朱印帳」を開発するなどしてきた。2016年秋には「モミジ押し花朱印帳」を作る体験教室を開催。関西のニュース番組で紹介されるなど、オリジナルのご朱印帳として注目を集めた。
フェリシモとのコラボや押し花ご朱印帳の開発について、同寺の日下俊英住職は「当寺は古来より、身分を問わない『庶民』の寺として信仰を集めてきた。檀家は持たず、講社(こうしゃ)という古くからの民間信仰組織に支えられてきた側面もある。戦前に400以上あった講社が近年では50ほどになっており、時代に沿った形でオリジナルの発想で伝統仏教の魅力を発信する必要から考えた」「当寺の境内には『平和を願う桜』として有名な『陽光桜』が100本以上植樹されている。4月にはその桜の押し花朱印帳も企画している。単に新しい商品を作るのではなく、『元々あるものを光の当て方を変えて見せる』という考えでいる。朱印帳や塗り絵を通して新しい縁を結んでいけたら」と期待を込める。
サラサクリップ10本と仏像なぞり塗り絵3枚セットの価格は1,080円。フェリシモのサイトと全国の文具店で数量限定で扱う。ペンの太さは0.5ミリと1.0ミリがあり、それぞれ3つの寺の塗り絵カードをセットにする。楊谷寺は1.0ミリセット。