京都市伏見区の藤森神社(伏見区深草鳥居崎町)で2月3日、節分の追儺式・豆まきが行われ例年の倍近い1000人の参拝客を楽しませた。
節分は「季節を分ける」ことを意味している言葉で、「立春(2月4日)」「立夏(5月7日)」「立秋(8月7日)」「立冬(11月7日)」など、季節の始まりの前日を指す。節分の豆まきは平安時代から続く習慣で、鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという意味合いがある。
藤森神社の追儺式は伏見では最大級の節分の祭事で、音響効果と光の演出によるエンターテイメント性が強く、見るものを楽しませる「鬼退治」として知られている。
藤森長生禰宜(ねぎ)は「戦前戦後の頃は、節分祭の神事が終わると、東北の「なまはげ」のように地域の家を回る行事が行われていたと聞いている。このスタイルになったのは1975(昭和50年)頃から。他の神社では行われていない、当神社独特のものだと自負している。今年もお越しになった方には存分に楽しいんでほしい」と話す。
この日は18時から「藤森太鼓の演奏」「雅楽と舞楽の奉納」が行われ、20時から本殿で神事が行われた後、拝殿前で町内に配布した人形(ひとがた)を焼納した。20時30分頃、音響とレーザー、スモークによる演出の中、拝殿に向かって設けられた花道を通って2匹の鬼が登場。花道では周囲の客を威嚇するなど悪態をつき、プロレスや異種格闘技戦の試合前のような雰囲気や迫力に泣き出す子どももいた。
拝殿に作られたステージでは、周回しながら司会者を追いかけようとするなど、更に挑発や悪態がエスカレート。そこに現れたのが稚児(ちご)たちで、手にした豆を鬼にぶつけると鬼は倒れてしまい、見事に「鬼退治」の大役を果たした。
その後、「氏子」「年男年女」「厄年の男女」らが登場し、拝殿を取り囲んだ1000人近い参拝客に向かって豆まきを行った。
鬼のパフォーマンスステージと豆まきは2回ずつ行われ、2回目は巫女(みこ)が鬼退治を行った。
伏見区内から来たという親子連れは「鬼のステージは音響や光の迫力に驚いた。本当にプロレスでも始まるのではないかと思った。豆もキャッチすることができて厄払いもできたので、来てよかった」と笑顔で話す。