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京都・伏見で地元学リレー式講演 「まちの人」先生に循環型農業・商店街活性化など紹介

講演会で論評するコメンテーターの白水さん

講演会で論評するコメンテーターの白水さん

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 京都市伏見区の国立京都教育大学(京都市伏見区深草藤森町1)で1月29日、伏見や深草の地元学をテーマにした「リレー式講演イベント・ふしみ an カレッジ 深草キャンパス編」が行われた。主催は市民グループ「ふしみBa」。

論評するコメンテーターの亀村さん

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 伏見は市民活動が盛んで、さまざまな分野で市民やグループが研究や活動を行っている。その反面「グループ間の交流が少なく、情報を共有し、地域や伏見全体をテーマに共に語る場が少なかった。伏見でいろんな取り組みをしている人の話を聞くことや、その人たちをつなぐ場(Ba)をつくりたいと思ったのが、グループをつくったきっかけ」と、同グループ世話役の田中敏博さん。

 同グループは2016年に立ち上げて以来、講演会や伊藤若冲の足跡をたどるフィールドワークなどを行い、今回の講演イベントが4回目。

 今回は「街の人が先生 生徒は地域の人」をテーマに、地元で市民活動や研究を行う5人が講師としてリレー式に話す。

 Lesson1は同グループの田中さんが登場。開校趣旨や地元学について説明した。地元学については「伏見の地域を学ぶことは、住民自治の意義から重要。区役所や各大学と連携して地元の歴史や文化を学ぶことで知識が高まり、地域の活性化につながる」と説明した。

 Lesson2では京都 風緑代表の杉井正治さんが、循環型農業に取り組むことになった経緯を「深草はかつてマツタケでも有名な自然豊かな山里だった。子どものころ遊んだ山がいつしか不法投棄の山になり大変なことになった。最初は何とかしたいという一心で、ごみを捨てて柵を作った。次に取り組んだのが農業。野菜を作ることが土を生き返らせ、周囲の環境に良い影響を与えるから」と説明。「幼稚園の食べ残しなど生ごみを回収し肥料にして、野菜を育てる循環型農業に取り組んでいる。その野菜は幼稚園の子どもが収穫に来たり、親子で体験する『五感のごはん』などのイベントを開催したりして地域に還元している。今後は地産地消と東京への販路拡大を目指す」とも。

 Lesson3では深草商店街の「みんなのカフェちいろば」オーナーの大山謙一さんが「竹とんぼギネス挑戦」「ふかくさ100円商店街」などの商店街の活性化についての取り組みや、カフェやレンタルスペースで行うイベントなどを通して地域コミュニティーの核となり「高齢者の居場所づくり」を目指している取り組みになどついて説明した。

 Lessn4では元聖母女学院大学教授の西尾信廣さんが「伏見の水辺空間を生かしたまちづくりを目指して」と題して、鴨川運河(琵琶湖疏水)に水上交通を走らせることで、伏見がベネチアのような親水空間が多い町を目指すメリットを紹介した。

 Lessn5では伏見いきいき市民活動センター長の三木敏和さんが「龍谷大学の学生との取り組みを通して見えてきた若者の役割」「地域の子どもや高齢者とのふれあいの中でも見えてきた地域課題」などを説明した。

 この後、コメンテーターの京都市まちづくりアドバイザーの白水育世さん、亀村佳都さんを交えたディスカッショントークが行われ、高校教諭という男性から「総合教育と地域学習の在り方」についての質問などがあり、最後まで白熱した議論が交わされてイベントが終了した。

 田中さんは「素晴らしい学びの場になった。今後も定期的にこのような場を設けて、交流を深めていきたい。講師の方の持ち時間が各20分と短かったので、あらためてお話ししていただく場も設けたい。ぜひ多くの方に参加してほしい」と呼び掛ける。

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