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伏見・御香宮神社で「神能」 満員の観客が古典芸能を堪能

御香宮神社の能舞台で催された神能

御香宮神社の能舞台で催された神能

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 京都・伏見の御香宮神社(伏見区御香宮門前町)の能舞台で9月22日、神能奉納が開催された。主催は御香宮神社と御香宮神能会。京都府が後援している。

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 御香宮神社の神能の歴史は古く、600年ほど前から能楽の先行芸術にあたる「猿楽」が同社で行われていたのが起源。ろうそくをともして能楽を上演することから「ろうそく能」ともいわれ、同神社の氏子を中心に人気が高い。例年、9月の第3土曜日に開催されている。

 上演する能舞台の歴史も同様に古く、豊臣秀吉が伏見城内に御香宮神社を勧請(かんじょう)した際に能舞台を建て、徳川家康が現在の場所に戻した際にも能舞台を移築した。その後、能舞台が江戸時代に大破してしまったため、再建願いを「伏見奉行」「京都所司代」に願い出たが許可が下りず、仮舞台での神能奉納が行われていた。

 御香宮神能会・副会長の山本英蔵さんによると、「能舞台の再建は明治になってやっと許可された。1878(明治11)年に完成し、補修や解体修理を行いながらこの舞台を守ってきた。戦時中の中断などもあったが、ずっと舞台を続けてこられたのは伏見の人間にとっての誇り」と話す。

 この日の神能奉納は神能会の会員など450人が鑑賞し、外国人観光客の姿も見かけられた。山本さんは「今年も用意した450席が全て埋まった。以前の観客は氏子地区の会員がほとんどだったが、最近はSNSの普及などにより、外国や国内でも遠方から鑑賞にいらっしゃる。時代の流れを感じる」と言う。

 舞台は17時に始まり「能・源氏供養」「狂言・清水」「仕舞・敦盛」「狂・花筐(はながたみ)」「能・天鼓」が演じられた。演目の途中にはろうそくへの火入れの儀式も行われ、暗がりの中にろうそくがともり、荘厳な雰囲気の中、満員の観客が古典芸能を楽しんだ。

 山本さんは「天候が悪く心配されたが、今年も無事開催できた。自分たちも先祖から引き継いできたものを、次世代に大切に引き継いでいきたい」と話す。

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