京都市伏見いきいき市民活動センター(伏見区深草加賀屋敷町)で8月26日、伏見でシェアサイクル導入を目指す意見交換会が開催された。主催は市民活動団体「ちょいノリ自転車KYOTO研究会 伏見支部」。京都市まちづくりアドバイザーの白水育世さんと伏見いきいき市民活動センターが協力している。
シェアサイクルは複数のポイント(自転車置き場)を設置することで、借りたポイントと返すポイントを移動できるのが特徴。公共交通機関の駅やバス停などと連結することで「移動の利便性が高まる」「渋滞回避」「観光客の回遊性が高まる」などのメリットがある。国内では77の自治体が導入し、海外でもニューヨークやパリ、台北などで大きな成果を上げている。
「ちょいノリ自転車KYOTO研究会」は「京都市まちづくり100委員会」から生まれたチームで、2015年から京都市内の自転車の使用状況や国内外のシェアサイクルの研究を行ってきた。中心メンバーが伏見区に住んでいることもあり、移動手段の解決方法の一つとして、シェアサイクルの普及を伏見区内の市民活動の場などで提案している。
この日の意見交換会には研究会メンバーの他、京都市や伏見区内の市民活動チームの代表や伏見区の隣町「久御山町(くみやまちょう)」の町役場の職員など12人が参加。会では同研究会のメンバーの山田一隆さんが、研究会の活動報告や伏見区の移動手段の問題点などを発表した。
山田さんは「伏見区は、東は醍醐、南は淀までと広いのが特徴。そのため、区内の移動にさまざまな問題を抱える。例えば南北は鉄道各社やバスが市民の足となっているが、東西の移動は公共交通機関が極端に少なく、いったん京都市中心部や宇治市を経由しなければならなく、移動しづらいなどの問題がある」と説明。「シェアサイクルの普及により、市民の足としてだけではなく観光客の回遊性が高まる。以前、勤務していた京都の私立大学では、学生の卒業により毎年2000台の廃棄自転車が発生するので、そのような廃棄自転車をリサイクル使用することで、環境や予算にも優しい運営になる」と話す。
台湾の台北市内のシェアサイクル「You Bike」の事例も紹介された。台北市内に友人がいるという日本語教員の丹羽恵理さんは「交通系ICカードでの決済が可能」「ステーション(自転車置き場)が255カ所あり移動がどこでもしやすい」「自転車でお店に行くとディスカウントサービスが受けられる」「利便性を追求することが普及につながる」と「You bike」の特徴を説明した。
久御山町産業課商工係の安岡あずささんは、今年の秋に導入される予定のレンタサイクルを説明。その後、「伏見区内のシェアサイクル」「久御山町のレンタサイクル」のテーマでワークショップが行われ、活発な意見交換が行われた。
研究会代表の植野彰さんは「いろいろな意見が聞けてとても有意義な会になった。今後も継続的に活動を行うことで、京都市や伏見区にも導入の意義やメリットを訴えていきたい。そのためにも多くの市民の方にシェアサイクル導入の活動に参加してほしい」と呼び掛ける。