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京都・伏見 宝酒造「松竹梅」新年用樽酒の年内出荷が終わる

樽に菰を巻く作業をする職人たち

樽に菰を巻く作業をする職人たち

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 京都市伏見区の「宝酒造」(京都市伏見区竹中町)で12月28日、「松竹梅」の新年用樽酒の年内の出荷が終わった。新年の鏡開きなどの慶事に使用される樽酒は12月が生産・出荷のピークで、まこもやわらで織った菰(こも)を樽に巻いた菰樽(こもだる)作りも行われてきたが、年内の生産も完了した。

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 「宝酒造」(京都市伏見区竹中町)は伏見の酒造メーカーで、「国内酒類事業」「調味料・酒精事業」「海外酒類事業」「海外日本食材卸事業」などを展開している。
 酒造りの歴史は古く、江戸時代後期の1842(天保13)年に始まった。日本酒の銘柄「松竹梅」は、新年の鏡開きなどにも使用されるなど、同社の代表的な銘柄。

 同社の環境広報部・広報課の坂口智子さんによると「菰を木樽の周囲に巻くようになったのは江戸時代。当時は樽廻船(たるかいせん)などの海上輸送が主流だった。輸送時の樽の破損を避けるため、樽を菰で巻いたのが始まり」と説明。

 樽のサイズは1斗(18L入り=1升瓶10本分)、2斗(36L入り=1升瓶20本分)、4斗(72L入り=1升瓶40本分)に分かれる。4斗樽などの大きな樽に菰を巻く作業は大変だという。「樽を転がしながら1人で巻いていくので、重労働。技術も必要なので誰でも簡単にできることではない。熟練の職人でもひとつの樽を作るのに20分ほど掛かる」と坂口さん。

 生産している数量については公表していないが、樽酒の市場は「なだらかに下降気味」という。「樽は杉や樫(かし)の木材を使用している。作ってから日数が経過すると木の成分が日本酒に染み出すので、エグミが出て美味しくなくなる。作り置きできず、日数の問題もあるので海外への輸出も難しい。そういう面で市場が大きくなることはない」という。

 坂口さんは「『松竹梅』は『お祝い事を応援できる銘柄』『笑顔をお届けできる銘柄』として、社員もそれを誇りに思っている。新鮮でできたての日本酒を楽しいながら、良い新年を迎えて頂きたい」と話す。

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