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伏見発「エコボール」事業、7年目 高校球児の活躍を後押し

ロウを塗り込んだ糸で縫い上げる「エコボール」

ロウを塗り込んだ糸で縫い上げる「エコボール」

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 障がい福祉サービス事業所「スマイルワーク」(伏見区深草極楽町)が展開する硬式野球ボール再生事業「エコボール」が12月、7年目を迎え、支援の輪が全国に広がっている。

手作業で縫い上げるエコボール

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 「エコボール」は、皮が破れたりして使えなくなった硬式野球ボールを、障がい福祉サービス事業所が手作業で修繕し、再利用できる状態にして、ボールの提供元の高校の硬式野球部に1個50円で販売する仕組み。

 同事業は7年前、元プロ野球選手で「スマイルワーク」社長の大門和彦さんが母校の京都府立東宇治高校を訪れた際、倉庫に山積みされた破損ボールを見たことがきっかけという。

 大門さんは「私たちが高校生の頃は使い古したボールは自分たちで補修していた。監督から、『現在の高校生にそれを求めるのはなかなか難しく、ボールは皮をはがしてティーバッティング用のボールにしかできない』と聞いた時、長年お付き合いをさせていただいている宇治市の障がい福祉サービス事業所・NPO法人 就労ネットうじ「みっくすはあつ」の皆さんに補修のお願いをできないかと思った」と振り返る。

 「ボールを持ち込んで、縫い方を指導したら皆さん上手にできた。学校に対して『障がい者の収入になるので買い取ってもらえないか』と掛け合ったところ、快諾を得たため同事業をスタートした。京都で知り合いの監督がいる高校などに声を掛けて少しずつ輪が広がっている」と話す。

 2014年からは「公益社団法人全国野球振興会(日本プロ野球OBクラブ)」がオフィシャルサポーターとして告知活動を支援し、認知度向上に貢献しているという。

 同年、大門さんは「スマイルワーク」を立ち上げ、「エコボール」「清掃業務」「イベント販売」などを通して、障がい者の自立支援を行っている。

 「ボールの補修時間は、破損状況にもよるが1球当たり1時間から2時間程度かかる。修繕した人がボールを持って行き、選手に直接渡す触れ合いを通じて選手は『物を大切にする心』『人とのつながりを感じ、喜びを共感できる』などを養える。障がい者も修繕した学校が甲子園に出場するなど活躍を目の当たりにすることで、やる気が高まるのを感じる」と大門さん。

 現在、同活動に賛同した全国21の障がい福祉サービス事業所と提携。施設がある都道府県の高校176校の硬式野球部が、ボールの提供・買い取りに参加するなど、全国規模の障がい者支援事業に成長している。

 大門さんは「2017年2月には、全国の提携先が集まった『エコボールサミット』を京都で開催する。各提携先の取り組みを発表し、情報交換を行うことで、障がい者の活躍の場を提供する輪を広げていきたい」と意気込む。

 「健常者と障がい者の壁は高いと感じる。エコボールの活動を通して、その壁を少しでも低くしていくことが目標」とも。「プロ野球OBなど知名度のある元スポーツ選手が福祉活動に取り組むことは、多くの方に意義や目的を知ってもらう事にもつながる。OBの皆さんが福祉活動に注目・参加するきっかけを作れたらうれしい」と笑顔を見せる。

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