暮らす・働く

京都・長岡京市民管弦楽団、超満員の観衆をラフマニノフで魅了

アンコールの拍手を受ける長岡京市民管弦楽団

アンコールの拍手を受ける長岡京市民管弦楽団

  • 0

  •  

 京都府長岡京市に本拠地を置く長岡京市民管弦楽団が5月15日、長岡京記念文化会館(長岡京市天神)で第25回定期演奏会を行った。

パートナー奏者の(写真右)増永雄記さんと(写真左)増永花恵さん

[広告]

 超満員の約900人の観衆を前に行った演目は、S.ラフマニノフ交響曲第2番短調op.27、E.ショーソン「詩曲」op.25、リムスキー・コルサコフ 「スペイン奇想曲」op.34だった。

 同楽団は1994年に結成。地域に根付いた音楽活動を信念に活動を行っている。アマチュアの管弦楽団がいかに素晴らしいアンサンブルを作ることができるかなど、音楽の素晴らしさや楽しさ、感動を共にできる市民オケとは何かを追い求める。

 現在楽団員は63人で、大学生から70歳代まで幅広い年齢で構成されている。演奏者がスタッフも兼ね運営し、練習は月2回、年3回のコンサート(ミニコンサート、フルコンサート)を開催している。

 運営委員長の安藤隆さんも、クラリネット奏者だ。安藤さんによると、「音楽大学出身者もほとんどいない。本当に演奏することが好きな仲間が集まる楽団」と話す。楽団では、他の楽団にはない工夫も凝らし、アドヴァイザリーコンダクター制度やパートナー奏者制度などを導入しているという。

 パートナー奏者はプロの演奏家が務めている。この日、ソリストとして登場した増永花恵さんは今年4月より関西フィルハーモニー管弦楽団2nd.バイオリン奏者だ。コンサートマスターを務める増永雄記さんもパートナー奏者で楽団の指導にあたっている。

 委員長の安藤さんは「プロに指導してもらうことで大きな気付きがある。演奏時の安定感、安心感ももたらしてくれている」と絶大な信頼を寄せる。

 この日の指揮は京都生まれで、ドナウ交響楽団主催の国際指揮者コンクール1位を受賞し、ラトヴィア国立交響楽団の客演などを続ける中田延亮さん。中田さんは現在スペイン・バレンシアに拠点を置き、国際的な活動を続けている。

 中田さんは「プロとアマチュアの最大の違いは練習の時間。プロはさまざまな試験をくぐり抜けた音楽のエリートで、全ての時間を演奏につぎ込む。アマチュアはそれぞれに仕事や、学業があり限られた時間の中で活動を行っている。もちろん技術のレベルは違うが、プロにはプロの、アマチュアにはアマチュアの良さがある。個人的には仕事でなく楽しみながら続ける市民レベルの活動を支持している」と語る。

 「いかに演奏時にピークを持っていくかがポイント。練習でいくら完璧でもいけない。」と演奏に向けての思いを話す中田さん。今後長岡京市、乙訓、京都の演奏を志す子どもへは、「日本人だからできる演奏をしていってほしい。日本人の真面目さは大きな武器。サッカーも昔はヨーロッパに太刀打ちできなかったのが、今は日本の良さを世界が認めるようになった」とメッセージを送った。

 この日は終演後アンコールを呼ぶ拍手がやまない演奏となった。同楽団の次の定期演奏会は12月11日に同会場で行われる。演目はマーラー交響曲第1番「巨人」など。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース