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伏見・藤森神社 藤森祭のみこし担ぎ手を募集 世代継承へ神事の理念共有も

藤森神社の深草郷神輿保存会の井上雅晶さん

藤森神社の深草郷神輿保存会の井上雅晶さん

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 伏見の深草郷神輿保存会と同神輿会は、藤森神社(伏見区深草鳥居崎町)で5月5日に行われる「藤森祭」のみこしの担ぎ手を募集している。

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 藤森神社は今から約1800年前に、神功皇后によって創建された皇室ともゆかりの深い古社。菖蒲(しょうぶ)の節句発祥の神社としても知られ、現代では「勝運と馬の神様」としても有名。

 藤森祭(深草祭)は863年に清和天皇の勅(みことのり)を奉じて行った「深草貞観の祭」が始まりで、古来旧暦の5月5日に行われてきた。みこし巡幸(深草郷、宮本下之郷、東福寺郷の3基)や武者行列、駈馬(かけうま)神事などが行われる。

 深草郷の人力で担ぐみこし巡幸は、人手不足により1963(昭和38)年に一度途絶え、トラックによる巡幸になった。その後、1997年に同保存会の井上雅晶さんらの呼び掛けで、人力みこしが復活した歴史がある。

 井上さんは「他の地域でも同様だと思うが、一度途絶えた神事を復活・継承するのは至難の技。先祖から代々受け継いできた伝統を途絶えさせたくない気持ちが強かった。自分たちがそれを引き継げる最後の世代だったので、『京都神輿愛好会』にも協力を呼び掛けて、人力みこしを復活した」と説明する。

 「祭りはイベントではなく、あくまでも神事だという認識も大切。神事には代々引き継いできた思いや理念があって、それを共有することが地域の結びつきを強めてきた。地域のつながりが希薄になる中、理念の継承も大切にしていきたい」とも。

 当日は8時に集合、9時に神社を出発する。その後、11時に伏見稲荷大社の藤尾社に宮入りする。「1932年(昭和7)年までは担ぎ手が『土地返せ』と言いながら伏見稲荷の境内に入っていったという話を、地域の古老の方から伝え聞いている。これはもともと稲荷山に藤森神社の境内があった歴史に由来する」と井上さん。その後は、氏子地域を巡幸して17時15分ごろには師団街道第二軍道交差点では、みこしを担いで周る「辻廻し」を、18時30分に宮入りして拝殿廻しを披露する。

 井上さんは「4月8日、18日には初心者やスキルアップしたい人向けの練習会も行う予定。経験者の方も未経験の方も大歓迎なので、地域や知り合いの方をお誘い併せて、ぜひ参加していただけたら」と呼び掛ける。

 祭りの開催時間は8時~20時。練習会は4月8日が13時~、4月18日は19時から藤森神社境内で行う。問い合わせは深草郷事務局(TEL 075-963-5500)堺さんまで。

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