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京都・伏見で歴史研究合同イベント 江戸時代の天体観測や街道の敷石研究など発表

江戸時代に作られた望遠鏡

江戸時代に作られた望遠鏡

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 京都市伏見区の伏見区総合庁舎(京都市伏見区鷹匠町)で1月7日、伏見の歴史を研究する各グループの合同イベント「第1回歴史Do!フェス」が行われた。主催は歴史研究グループ「伏見歴史同好会」。伏見区が協力している。

江戸時代の街道に敷かれた車石のレプリカ

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 同グループは、伏見を題材に語り合い、出会った仲間と伏見の町でやりたいことを実現する市民参加型イベント「ふしざく」で、2016年7月に誕生した歴史研究グループ。「伏見の歴史」に興味のあるメンバーを中心に、これまで毎月ミーティングを行うなど積極的に活動を行ってきた。

 今回のイベントは「伏見の歴史を共に掘り起こして、世界へアピールしよう」という「伏見歴史同好会」の呼びかけに、「伏見城研究会」「車石・車道研究会」「黄華堂再発見プロジェクト」「NPO法人・資料データ保存ネットワーク」「伏見歴史探偵団」「伏見の昔話を掘り起こす会」「酒蔵の景観・伏見の美しいまちをつくろう会」「ふれあいオレンジカフェももやま」などのグループが賛同して実現した。

 当日は開会宣言の後、参加している各グループが研究成果を発表した。

 「車石・車道研究会」は、江戸時代の交通施設の車石を研究している。車石は江戸時代の後期、牛車などの運行をスムーズにするために街道に敷いた敷石。車輪との接着面が、車輪の重みなどで窪みになるのが特徴。

 同研究会の久保孝さんによると「京都近辺では『東海道』『鳥羽街道』『竹田街道』に敷かれていた」という。「これまで2500個の実物調査を行ってきた結果、大部分の車石は撤去されて廃棄または庭石として転用されてきたのが分かってきた。東海道はある程度把握できたので、鳥羽街道や竹田街道の情報が欲しい」と呼びかける。

 「黄華堂再発見プロジェクト」は、江戸時代中後期に伏見で活躍した「橘南谿(たちばななんけい)」や彼の住居だった「黄華堂」に、スポットを当てて研究している。

 同グループの国分慶二さんは「橘南谿は伏見奉行所の医師として1783(天明3)年、伏見の平戸刑場で人体解剖を行うなど、医学での貢献も大きい。グループとしては、その10年後の1793(寛政5)年に彼が主催した『日本初の観望会』にも注目している」と話す。

 「観望会とは天体観測会のことで、橘南谿は岩橋善兵衛自作の望遠鏡を使って、12人の文人仲間と屋根に登って観望会を開催した。文献に残っている資料では、望遠鏡を使った観望会は日本で初めて。今後、伏見を『日本初の天体観測をした町』としてPRしていくのも面白いと思う」と国分さん。

 主催の伏見歴史同好会事務局は「伏見にはまだまだ知らない歴史が眠っていることが、今日のイベントでも再認識できた。今後も様々な活動を通じて、伏見の歴史を掘り起こしていきたい。将来的には日本中の『伏見』の町が集う『伏見サミット』なども開催できたら」と意気込む。

 伏見歴史同好会では、3月11日、12日に御香宮神社の参集館で「伏見百景写真展」も開催する。問い合わせは同好会のホームページのメールで。

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